息止め(息こらえ)の記録を伸ばすにはどうしたらいいでしょう? 水中息止めの時間を長くするための15のコツをお話しています。また水中で息を止める時の注意点やブラックアウトも解説。どうぞ安全に楽しく挑戦しましょう。
「お風呂で息止め3分チャレンジ」
今回の研究テーマは「お風呂で息止め3分チャレンジ」です。あなたはどのくらい息を止められますか? 動画では実際に私がお風呂場で3分間息止めをしている様子をノーカットでご覧いただき、息止めの注意点とタイムを長くするコツを15個お伝えします。
これは私個人のチャレンジであって、3分の息止めを視聴者にうながす内容ではありません。私の息止めのタイムは5分2秒なので、3分ぐらいなら問題なくできると思って今回の動画を撮影しました。息止めに慣れていない人は決して無理をしないでください。
息止めの注意点3つ
まず最初に注意点3つを絶対守ってくださいね。命に関わる大切なことです。
コツ1 本番前にウォーミングアップ
息止めは1回目より2回目、2回目よりは3回目の方がタイムが伸びます。本番前に短めに息止め練習をします。
コツ2 お風呂の温度はややぬるめ
温度が高すぎると心拍数が上がりますし、冷たすぎても筋肉が硬直して余分な酸素を使います。少しぬるいかなと感じる温度にします。
コツ3 あたたかい格好で行う
水温が低いので裸や水着だけよりも、ラッシュガードやレギンスなどあるといいかもしれません。
コツ4 事前に顔を水で濡らす
人間は顔が水に濡れていると心拍数が下がるようになっています。これを「潜水反射」といいます。最初は顔全体を水につけます。
コツ5 しっかり深呼吸する
血液中に溜まった二酸化炭素を排出し、体内に新鮮な酸素を行き渡らせます。休憩の間ゆっくりと深呼吸しましょう。
コツ6 ウエイトを使う
どうしても上を向いて息止めしたい時は、自力で潜るのではなくウエイト(おもり)を使います。息をたっぷり吸うと人間の体は水に浮かび上がってしまうので、一生懸命潜ろうとするとそれだけ筋肉が酸素を消費するからです。
コツ7 上を向く場合はダイビングマスクを使う
上を向くと鼻から水が入ってきます。そうすると鼻の奥が痛んで気になって長く息止めができません。鼻まで覆われたマスクがあれば安心です。どうしてもマスクなしで潜りたい場合は、鼻に水が入らない訓練法をご紹介していますので、興味がある方はこちらの記事をご覧ください。
コツ8 息止めの前にはトイレに行きましょう
ここから4つほど息止めチャレンジの事前に注意すること行うことなどをお話します。トイレを我慢するとこれも余分な酸素の消費となりますから、事前にトイレに行きましょう。
コツ9 息止めの前に物を食べるのはやめましょう
食物を消化するのにもエネルギーを使います。極力余分な酸素消費をしないためにも息止めの前4時間ほどは食べたり飲んだりは控えましょう。
コツ10 お酒・タバコカフェインを取らない
肺に負担のあるタバコ利尿作用があるお酒・コーヒー類はタイムを測る前はやめたほうがいいです。とにかく酸素を息止めに全集中させることです。余分なエネルギーロスをなくします。
コツ11 体を締め付けるものは身に着けない
特に女性に注意してほしいのはビキニのブラですね。ブラは確実に肺活量を減らします。できればつけないほうがいいですが、ストラップを緩めるなどしてください。
コツ12 うつ伏せで息止めする
水中に潜ると酸素を無駄に使います。本番ではうつ伏せになりましょう。できれば全身脱力状態で行うのがベストです。ご家庭のお風呂で体全体をぷかーんと浮かべるほど大きい湯船はあまりないと思いますが、なるべく体に力が入らない体勢を取ります。
コツ13 何も考えない
とにかく何も考えずに、脳の酸素消費を抑えるためにぼーっとします。タイマーも自分では見ないほうがいいです。あと何秒……とか考えると焦りになります。ただ30秒とか1分ごとにタイムを測ってくれる人に声掛けをお願いするといいです。
コツ14 息を吐かない
息を止めていると苦しくなって息を吐きたくなりますよね。これは血液中に二酸化炭素が増えるからです。少しでも二酸化炭素の濃度を低くするために脳が息を吐けと命令します。これが苦しさの原因です。でも吐いた息の中にはまだ酸素が残っています。息を吐いたら呼気の中の酸素を利用できません。息は水中では吐かないようにします。
コツ15 自分の限界を知る
息止めをしばらく続けていると横隔膜がけいれんし始めます。人によりますが、2分半から3分過ぎぐらいからけいれんが始まるんじゃないかなと思います。
あくまで個人的な体感ですが、このけいれんが起こるのは自分の息止めの限界の3分の2から半分ぐらいの時点です。それから先もさらに息止めは可能なんですね。
ただしフリーダイビングの競技ならともかく一般の方が自分の家で練習する時は熟練したサポートダイバーも救護班もいません。訓練を受けていない一般の方はやめ時がわからないと思いますので、横隔膜のけいれんが起こり始めたら直ちにやめてください。無茶決してしないでくださいね。
息止めをしている時に水中で一時的に気を失うこと、つまりブラックアウトはどれだけ危険なのかはこちらの記事をご覧ください。
長時間の息止めは規約違反かも?
ちなみに海外のフリーダイビング系YouTuberの息止め動画を見ていると、2分〜3分までの息止め動画は結構あるんですが、それ以上4分5分以上のチャレンジ動画はあまりないみたいなんです。
スタティックアプネアの試合動画とか息止め水中脱出マジックの動画は別として、素人の長時間の息止め動画は、ひょっとするとYouTubeの規約違反になるんじゃないかなと思います。
YouTubeポリシーには「非常に危険なチャレンジ:身体に重傷を負う恐れがある差し迫ったリスクを伴うチャレンジは禁止」と書いてあります。だから長時間の息止めチャレンジ動画を公開していないのかもしれません。なので私も3分の動画にしてみました。皆さんも決して無理をしないように安全に練習してくださいね。
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ロケ地
自宅(蒸気邸)