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【超初心者編】なぜ耳抜きができないのか? 5つの原因を徹底解明

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ダイビングやマーメイドスイムで耳抜きができない方へ。バルサルバ法、トゥインビー法、フレンツェル法──耳抜きのやり方は様々な種類がありますが、なぜビギナーにとって耳抜きが難しいのか理由を5つ解説します。

研究テーマは「耳抜き」


今回の研究テーマは「耳抜き」です。素潜り・ダイビング初心者の一番の難関、それが耳抜き。耳抜きができなければ耳に激痛が走って、たった2mさえ潜ることはできません。この記事ではなぜあなたが耳抜きできないのか、5つの理由をお話します。理由が分かれば対処もできますよね。さあ、耳抜きできない理由を徹底解明しましょう!

深く潜れない一番の理由は耳抜き


素潜りについて一般的に勘違いされているのは「水中で息を長く止められないから深く潜れない」と思われていることです。違います。それより大事なのは「耳抜き」です。ほとんどの人が深く潜れないのは息止めが長くできないからではありません。途中で耳が痛くなって水面に引き返すからです。

ゴムをつけたボトルで実験


深く潜ると水圧によってぎゅーっと鼓膜が内側に押される痛みを感じます。この画像をご覧くださいこの透明なボトルが耳の内部、赤いゴムが鼓膜だと思ってください水深5mでべっこりと内側にゴムが凹んでいますね。

何もしないままさらに潜っていくとゴムに穴が空いて破れてしまうんです。つまり鼓膜が破れるということです。これは大変な激痛です。平衡感覚もなくなって溺れてしまいます。海やダイビングプールで初めて深く潜った人は耳が痛くなったことに驚いて怖くなって慌てて浮上してしまうんです。

耳抜きはダイバーの必須テクニック


だから耳抜きのテクニックはダイバーになって初めて身につける技術なんですね。耳抜きはビギナーにとっては一番の難関です。何度練習しても耳抜きができないからダイビングを諦めたという方もいらっしゃいます。せっかく水の中の世界に憧れを持って、ダイビングや素潜りマーメイドスイムを始めたのに、それはすごくもったいないです。もうあと一歩頑張れば素晴らしい世界をあなたは体験できます。

耳抜きできない理由1 見てもやり方が分からない


耳抜きできない理由を5つご紹介します。理由1やり方が見ても理解できないから。

何事も上達の一番の近道は真似することなんですね。見たまま完全にコピーできるまで何度も何度も繰り返すだけです。まるごと真似することが学習の基本です。

でも耳抜きに関してはこの「真似」ができないんです。だって見ても違いがさっぱり分からないし耳抜きができている状態、つまり完成の状態が分からないから真似しようがないんです。

耳抜きのやり方は主に3種類と言われてます。実際はさらにもっと多くのやり方がありますが、たとえば代表的な3種類のやり方をインストラクターが見せてくれたとします。「1トゥインビー法、2バルサルバ法、3フレンツェル法。はい分かりましたね。じゃあそれぞれやってみてください」──

できるかー! できませんよね? 私も最初インストラクターにお手本を見せてもらったときも何がなんだかさっぱり分かりませんでした。それのどこが違うの?って。

耳抜きができているかできていないかって、やってる本人しか分からないんですよ。客観的に見て分かるものじゃないんです。これが耳抜きの難しさの第一の原因です。

耳抜きできない理由2 年をとってできなくなったから


理由2年を取ったから。耳抜きというのは鼻と耳をつなぐ「耳管(じかん)」という管に空気を吹き込むことで、鼓膜を内側から押して痛くないようにする方法です。頭の中に耳管の管が鼻から耳につながっているんです。耳抜きは息をプーッと耳管に吹き込んで鼓膜をポコっと空気で押すことです。

よくこんな風に勘違いされる事が多いです。生まれつき耳管が細いからできない──みたいにね。もちろん人間ですから、既製品のように全員同じというわけにはいきません。人それぞれです。太い人もいれば細い人もいる。でも実は耳管の太さと耳抜きができるできないは、ほぼ関係がないと言われています。

耳の病気の人は別ですよ。例えば慢性の滲出性中耳炎。ちょっと難しい名前ですね。耳の内部に体液が溜まってしまう滲出性中耳炎の方は、耳管が上手く働いていない状態なので薬を飲んだり耳の中の体液を抜いたりして治療しなければいけません。ダイビングとか水に潜る以前の問題です。

でもあなたが慢性の中耳炎でない限り、耳抜きができない体質というのはほぼないです。ただし年を取ると耳管や耳管周りの筋肉が弱って、耳抜きがしにくくなる人がいます。昔はスカスカ耳が抜けたけど、最近はできなくなったという方はこのパターンです。

耳周りの筋肉が老化してるだけなので、筋肉を鍛え直せば大丈夫です。筋トレです。耳抜き練習をすれば治ります。日頃日常生活で気がついた時に耳抜きしたり、何度か潜ったりを繰り返せば耳抜きができるようになります。

ちなみに鼻の軟骨が曲がっている病気、鼻中隔湾曲症だから耳抜きできないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、これはあまり関係ないです。耳抜きは鼻の入り口でなく鼻の奥耳管の問題なので、ほぼ影響がありません。年をとったから耳抜きできなくなったというのが理由2です。

耳抜きできない理由3 体調が悪いから


理由3体調が悪いから。私も日によってスカスカと耳抜きできる日、なんだかちょっとあまり抜けないなという日──いろいろあります。人間ですから、そんな日もあります。具体的にどんな時に抜けにくいのかというと、寝不足の時、首周り・肩周りのコリが酷い時、アレルギー性鼻炎がある時などです。

初めてスキューバダイビングやスキンダイビングをする時は緊張していますし、沖縄とか海外へ遊びに行く時などは、飛行機に乗ったり長旅で疲れが出てしまったりしています。普段と違うことをするわけですからね。だから普段よりも耳抜きがしにくいこともあります。

これは仕方ないですが、あまりに疲れている時や具合が悪いときは、そもそも水の事故につながりますので、身体をちゃんと休めてから潜ってください。

アレルギーで鼻が詰まっているときは目の奥あたりに激痛が走る(サイナススクイズ)ことがあるので、耳抜きがどうこうよりも痛くて潜れなかったりします。サイナススクイズについては以前別の記事で詳しく解説していますので、今回は省きます。

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耳抜きできない理由4 耳抜きのタイミングが遅すぎるから


理由4耳抜きのタイミングが遅すぎるから。耳抜きによくある勘違いが、深くなればなるほど耳抜きが難しくなると一般に思われていることです。そうではないです。耳抜きが最も重要なのは水深5mまでの浅い水深です。

空気が圧縮される割合は、水面に近い浅いところほど大きいです。逆に深くなればなるほど小さくなっていくので、深い水深では頻繁な耳抜きは必要なくなります。最初が肝心なんですね。

しかも素潜りの場合は、耳抜きをするタイミングはスキューバダイビングの時よりもずっと早いです。潜り始めってやることが多いんですよ。深呼吸して、たっぷり息を吸って、身体を折り曲げて、ヘッドファーストでダックダイブ、手で水をかいて、そしてキック、すかさず耳抜き──みたいにこれやったらあれ、あれやったらこれを最初の数秒で行わなければならないから、ビギナーは特にあたふたしてしまって耳抜きのタイミングを逃してしまいます。

スキューバの人はいいんですよ。息をいくらでも吸えますから、耳抜きできなかったらストップしてそれでもダメならちょっと浮上して──とゆっくりゆっくりと潜行できます。でも素潜りの場合は一息で潜らなければなりませんから、そんな悠長に耳抜きをしていられません。

そして耳抜きのタイミングが遅いとますます耳抜きがしにくくなります。耳管の中にも空気がありますが、耳管の中の空気も水に潜れば小さくなります。だから水中ではぺっちゃんこ平べったくなってしまうんです。耳抜きのタイミングを逃したまま潜ると、さらにぺったんこになって空気を吹き込みにくくなります。

ピタッと閉じてしまった耳管に上手く空気を吹き込めない。これが4番目の理由。つまり耳抜きタイミングが遅すぎるということですね。

耳抜きできない理由5 人によって耳抜きの方法が全然違うから


ダイビングの教科書に書かれている通りを言いますと、水面で1、2回。耳抜き5mから10mまでは1mごとに1回耳抜きが一応の定説となっています。「えっチョット待って!その計算だと水深5m潜るのに5、6回耳抜きしないといけないよね? ベテランのダイバーを見てもそんなしょっちゅう耳抜きしてるように見えないけど?」とあなたはおっしゃるでしょう。

はいそうです。上級者はそんなに頻繁に耳抜きしません。ベテランマーメイドも水深5m潜るのに5回以上鼻をつまんだりしてません。耳抜きが難しい理由その5がこれ。人によって耳抜きの方法が全然違うからなんです。

ベテランダイバーは鼻をつままずに耳抜きができたり、潜水に慣れていて自分のベストな耳抜きタイミングを知っています。私も5m潜る時は耳抜きはせいぜい1、2回です。教科書に書いてあることや、ダイビングのライセンスの時に覚えることと、実際のダイバーがやっていることは全然別だったりするんですよ。

人によって耳抜きの回数や耳抜きを行う深度も、やり方も、バラバラなんです。みんな教科書どおり「1mにつき1回耳抜き」みたいにやってないんですよね。これがビギナーの人にとって耳抜きが難しく感じる5番目の理由です。

自分とタイプやレベルが違う人の言うとおりにやっても、そのやり方が自分に合ってないんですよ。体質というか生まれながらの才能はあります。鼻もつままず何もしなくても水に潜れば自然に抜けるみたいなのは生まれ持っての体質が大きいです。訓練でどうにかなるものではありません。

いろんな耳抜きのやり方のどれか一つができれば十分


でも逆に耳抜きが全くできない体質というのはほぼないと言われています。たくさんある耳抜きの方法のうち練習すればどれか一つはできるようになります。だから安心してください。

まとめです。耳抜きが難しく感じる5つの理由。

理由1 やり方が見ても理解できないから
理由2 年を取って耳周りの筋肉が落ちたから
理由3 体調が悪いから
理由4 耳抜きのタイミングが遅すぎるから
理由5 耳抜きの方法が自分に合っていないから

これら5つの原因のうちあなたはどれが該当しましたでしょうか? 原因が分かれば対処の仕方が分かりますよね。特に理由5番目。自分に合った方法を見つけるために今後の記事でいろんな耳抜きのやり方を解説します。一つずつ丁寧にご説明していきますので、耳抜きに困っている方はぜひ試してみてくださいね。

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