「サメに遭遇したら鼻を殴れ」そんな撃退法を聞いたことありませんか? でもサメに鼻パンチなんて、水中で実際に可能なんでしょうか? 水深5mに潜って元キックボクサーの私が検証してみました。果たしてサメに勝てるのか!?
サメに襲われたら鼻を殴れ?
あなたはこれまでにこんなことを聞いたことはないですか?
「サメに襲われたら鼻を殴れ」
私が大好きなヒロイン「トゥームレイダー」のララ・クロフトも、映画の中でサメを殴って撃退するシーンがあるんですよ。こんなこと実際に可能なんでしょうか?
キックボクシングをやってみる
ということで私が実際に水中に潜って検証してみます。まず私のスペックですが、私は20代の頃からキックボクシングをやっております。女子のボクササイズみたいなものではなくガチなやつです。おらぁ! サメェ! かかってこいやぁ!
水中に潜って検証
そして今度は水深5mのプールに素潜りします。普段サメはもっと深いところにいますが、プールなんでこの水深で勘弁してください。さあサメがやってきましたよ。オラオラオラオラオラ!オラァ!(空条徐倫)
はい無理です。陸上に比べて水中では半分どころか5分の1のパンチ力も出せません。サメ撃退大失敗です。理由は3つあります。
理由1足を踏みしめることができないから
ボクシングは腕や肩の力だけでパンチを繰り出すわけではありません。しっかりと両方の足の裏を地面に踏みしめて、おもいっきり竜巻のように足首から回転させ、全身の力を集めて拳に集中させます。
でも水中ではしっかりと足を踏みしめることができないんです。私は3キロのウエイトをつけていますが、それでも浮かび上がってしまいます。
理由その2水の抵抗があるから
水の抵抗は空気中と比べ物にならないぐらい大きいです。これは水中で走っているところです。足を踏みしめることもできませんが、それ以上に水の抵抗が大きすぎて、素早く手足を動かすことができないんです。だから出したパンチも水の力で減速されて、非常にノロイへなちょこパンチになります。
理由その3あっという間に酸素不足になるから
冒頭の「トゥームレイダー2」のシーンララはスキューバのボンベなしに、素潜りで海中に潜っています。しかもサメが現れるまで結構時間が経っています。この時点で相当酸素を消費しています。
その上で渾身の力で筋肉を収縮させてパンチを繰り出したりすれば、あっという間に筋肉が酸素を消費します。水面に浮上する前にブラックアウト確実です。気を失って溺死してしまうでしょう。

水中ではものがよく見えない
それ以前に水中でのララはマスクもゴーグルもしていません。しかも辺りはかなり暗いです。サメの姿はほとんど見えてないと思われます。水中ではモノがぼやけてしまうんですよね。遠近感も陸上のように正確につかめません。向かってくるサメの鼻先に確実にパンチを当てるなんて無理です。
ほとんどのサメは突然襲ってきたりしない
ちなみにサメはお腹がいっぱいなら、わざわざわけのわからない未知の生物である人間に突如向かってくるということはありません。人間はフィンも含めると結構大きいですからね。サメだって人間が怖いんですよね。
むしろダイバーはサメに会いたくて会いたくてウズウズしているような人がたくさんいます。それでも海でサメに遭遇することはまれです。ただどこか怪我していたりして出血していると、血の匂いを嗅ぎつけて遠くからサメがやってくることがあります。くれぐれも気をつけてくださいね。ご用心ご用心。
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