耳に水が入った時に試してほしい、3秒で耳の水を抜く方法をご紹介します。プールや海で泳いだ後などに耳の中の水が抜けなくて困ったことはありませんか? 水泳選手やダイバーが普段行っている裏ワザをぜひお試しください。
研究テーマ「耳に入った水を取る方法」
今回の研究テーマは「耳に入った水を取る方法」です。プールに入った後、またはダイビングで海に潜った後に、耳の中の水が抜けなくて困ったことありませんか? 片足でケンケンしたり、頭を振ってみてもどうしても抜けない。誰でも一度は経験があるはずです。
そんな時に気になって綿棒やティッシュのこよりを使って水を取ろうとする気持ちは分かります。でもティッシュも綿棒も使わないでください。耳の中の水を取るにはたった3秒で事足ります! しかも超かんたんです! 一見ありえないような方法ですが、騙されたと思ってやってみてください。この方法なら必ず水は抜けますよ
片足ケンケンでジャンプ
実際にプールでそのやり方を再現します。耳に水が入ってしまいました。音がぼんやり聞こえて変な感じです。まず最初にやってみるのは片足ケンケンでジャンプすることです。でも水は抜けてくれません。指も耳の穴には入らないし、さあどうする?
水を耳の穴に入れる!
プールの水をすくってください。これを耳の穴に入れます。指を伸ばして耳に水がしたたる感じです。そんなにたくさん水を入れなくてもいいです。そして耳を傾けます。ほら! ちゃんと耳の水が抜けたでしょう? トントンとジャンプしてもいいですね。ばっちり抜けました! 大成功です。
なぜ耳から水が抜けるのか? その原理
どうして水が抜けるのか原理をお話しますね。耳の内部の構造はストローに似ていますが、直線にはなっていなくて、ちょっと折れ曲がっていてくぼみがあります。そこにわずかな量の水が入り込んでしまうと表面張力で水が耳の内部にへばりついてしまうんです。
表面張力とは?
葉っぱの上に丸い水滴がつくことありますね。あれはなぜ滑り落ちて流れてしまわずに、球体の形を保っているんでしょうか? 実は表面張力という力が働いているから流れないんですよね。あれと同じ状態です。
耳の中で水が表面張力を持っているので、ちょっとやそっとジャンプをしたぐらいでは取れないんです。この表面張力を無効化するためにはどうしたらいいでしょう?
『ジョジョの奇妙な冒険』で学ぶ表面張力
『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』で、グラスに入れたお酒がこぼれないようにコインを入れていく──という賭けをするシーンがあります。あれと同じです。
液体が一定量を超えるとお酒は溢れてしまいますよね。だから水の中にも表面張力以上の水を入れてわざとこぼしてやればいいんです。これを我々の業界用語で「呼び水」とか「誘い水」なんて言ってます。水泳選手とかダイバーはこの呼び水・誘い水法で耳から水を抜いています。
たいていは耳に水を入れて頭を傾けるだけで水は抜けますが、抜けにくい時はジャンプのあわせ技を使って下さい。でも決してシャワーの水を大量に流し込むのはやめてください。鼓膜を傷めますからね。
耳から水を取る時の注意点
注意事項についてもお話しましょう。先程のシャワーを勢いよく入れる──なんてのは論外ですが、あまりやらないほうがいいのが、綿棒やティッシュのこよりを入れて水を取ろうとする方法です。正しく行えばいいのですが、たいてい奥まで入れすぎて、鼓膜に綿棒やティッシュが接触して鼓膜を痛めることがあります。
また耳垢が溜まっていた場合は、さらに耳垢を押し込むことになり、その湿った耳垢が炎症を起こしたりして、中耳炎など別の病気を引き起こすことがあります。綿棒やティシュは使わないようにしてください。
そして頭をバンバン叩いたり首を勢いよく振るのはやめましょう。あくまで軽くだったら大丈夫ですが、頭を叩くのは脳にダメージがあります。それに首を横方向に強く振ると、首周辺の組織が損傷して、むちうちを引き起こすことがあります。ムキになってブンブン振ると首を傷めますので、これもやめましょう。
それでも水が取れない時は?
どうしても水が取れなくても、正常な耳の場合は耳の水は体温で蒸発しますから、数時間経てば水はなくなっているはずです。永久に入ったままということはないですから、どうぞ安心してください。
また耳の水抜き専用の製品もあります。マックスドライインクリアーというものなんですが、これは要はアルコールなどの揮発剤ですね。アルコールは水よりも表面張力が弱いので、耳の中にアルコールを入れると表面張力が弱まって水が流れます。
でも専用の揮発剤は高いので、わざわざ使わなくても普通のアルコールでいいんじゃないかなと思います。なんかネガキャンみたいになってもよくないので、使いたい方は使ってもいいかも──というふうに言い直しておきます。
数日〜数週間経っても耳に水が入っている時は?
それでもどうしてもどうしても水が取れない。数日経っても1週間経っても、耳の中に水が入っている感じがしてがさがさいう時。これは2つのケースが考えられます。
1つめは耳垢が多くて水が湿った状態で残ってしまい炎症を起こしている可能性です。そして2つ目は鼓膜の外ではなくて鼓膜の内側に液体が溜まっている場合です。
この時の液体はプールの水や海水ではなく、自分の体液や血液が溜まっています。鼓膜の外側ではなくて鼓膜の内側なんですよ。人間は耳の中の水が鼓膜の外か内かを判断できないんですね。
なぜ鼓膜の内側に体液・血液が溜まるのか?
この2番目のケースはなぜ起こるのかというと、素潜りやダイビングで2m以上潜った時に、耳抜きがうまくできていなくて耳に負担がかかって、血液や体液が鼓膜内部でにじみ出ているケースです。
軽い場合は自然に治ることもありますが、数日から数週間経っても耳に水が溜まっている感覚がある場合は、耳鼻科を受診してください。潜水性の中耳炎を起こしていることがあります。
耳に入った水を抜く方法とその原理注意点や耳の病気についてお話しました。耳に水が入ったらまず水を入れる。一見して矛盾するような方法ですが、無理なく自然に水を抜くやり方ですので、ぜひ試してみてくださいね。
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