2022年5月21日(土)の人魚の学校練習会に参加しました。水深5mの巨大なプールにマーメイドが大集合! おしゃべりのテーマは「マーメイドスイムと性別」です。
今回のテーマは?
先日ある方からメールをいただきました「マーメイドになりたいけど女性じゃなきゃだめですか?」と参加を悩んでいらっしゃるとのことでした。実は男性やトランスジェンダーの方からこういったお便りをいただくことが結構あります。今回はマーメイドスイムと性別について私個人の考えをお話したいと思います。
人魚の学校とは?
2022年5月21日土曜日。愛知県名古屋市南区にあります日本ガイシアリーナ飛び込み用プールにて、人魚の学校の練習会が開催されました。日本ガイシアリーナは5月から9月までの5ヶ月間はプールとして、11月から3月までの5ヶ月間はスケートのアイスリンクとして使用されています。
プールの大きさは25m×25m。一番深いところで水深5m。浅い所で3mの水深となっています。水温は27度です。
日本ガイシアリーナのプールとは?
これはプール裏口になるんですが、日本ガイシアリーナのプールは選手たちの肖像権を守るためにプール水面から上の撮影は禁止です。なのでプール全体の映像はありません。プールサイドをお見せできるのはここまでとなります。
普段のevisのダイビングプールと違って、このプールはともかく広いです。25m四方で水深も5mと深いですから、マーメイドスイムの中級者以上──5mをなんなく潜るれる方に参加が限られています。
初心者禁止──というまで厳しくはないんですが、やはり足がつかない深さなので、深く潜ったことがない方だと怖くて壁にしがみついたまま練習会が終わってしまうかもしれません。できればビギナーの方はevisのダイビングプールである程度練習をしてからの参加をおすすめします。
この日のマリダイバー「人魚に人気のマーメイドテイル」
この日のマリダイバーはパープルのマーメイドテイル(マーメイドの衣装)を身に着けています。半年以上ぶりに広々としたプールで泳げて、すごく楽しかったです! やっぱり広いプールや海で泳ぐのは最高です。
実はこのマーメイドテイルは、人魚たちの間で人気のデザインです。色違いのテイルを持っている方をマーメイド界のSNSでちらほら見かけます。同じ色違いのテールの人で集まって「マーメイド姉妹大集合をやりましょう!」なんてお話も以前出たりました。
まあ全く同じデザイン、全く同じ色の方と同じ練習会でバッティングすると、ちょっと気まずくなるかもしれません。私は全然気にしないタイプですが、絶対に人と被りたくない──という方はDIYでテイル作りを頑張ってみてください。私もオリジナルの自作テイルでよく泳いでます。
今回のテーマ「女のコじゃなきゃだめですか?」
先日とある方からご相談のメールをいただきました。誰なのか特定されないように、なるべくぼかしてお話させていただきますね。
その方は男性として生まれたのですが、子供の頃から人魚に憧れていて、いつかマーメイドスイムをやってみたいという夢を持っていらっしゃいました。でも男の子が人魚になりたいなんて馬鹿にされるんじゃないかと、ずっとその夢を心に秘めていたのだそうです。
大人になってもその夢を諦められずに、あるマーメイドスイムの団体に参加の申込みをしてみたんですね。でもその団体の代表者が言うには「防犯上、男性は見学も参加もお断りしています」と拒否をされてしまって、悲しい思いをされたんだとおっしゃってました。
女の子じゃなきゃダメですか? 自分はマーメイドにはなれないんでしょうか? とメールに切々と綴られていました。
マリダイバーからのお答え
このお便りをいただいて、私はもう、胸が締めつけられるような、すごく悲しい気持ちになりました。実はこういったお話は結構聞きますし、私のYouTubeチャンネルにもコメントをいただいたり、ブログのメール、TwitterのDMにも何度かご相談をいただいたことがあります。
まず結論から言います。
大丈夫です! あなたはマーメイドになれます! 全く問題ございません!
人魚の学校の校風は?
これまで「人魚の学校」のまとめ動画をご覧くださっている方はご存知だと思いますが、男性も結構参加されているんですね。やっぱり女性の生徒さんの方が多いですが、定期的に参加されている男性もいますし、女性・男性・他の性別の方も気兼ねなく練習されてます。
生徒さん同士でも特に意識することなく、普通に会話して一緒にスイムを楽しんでいますよ。人魚の学校のシェリーナ先生・チェルシー先生ともにとてもリベラルな方で、朗らかで優しいお人柄です。人魚の学校はかなり自由な校風なんですね。
生徒さん同士もお互い仲が良くて、この夏はマーメイドの修学旅行も予定されています。
人魚界の困った人「Mervert」とは?
日本各地に人魚団体はいくつかありまして、それぞれ主催側のお考えがあると思います。あまりディスるような形にしたくはないのですが……。
このご時世ですよ!? 昭和、平成を通り越して、令和の世の中です。LGBTQ、SOGI(ソジ)という言葉も浸透してきました。男性だから全員ダメ! というのはいささか時代遅れではないかと私は思います。
確かに防犯のため男性禁止というのも分かります。英語圏の人魚の世界には“mervert”という言葉があります。これはmermaidの”mer”と「変態・変質者」という意味の“pervert”を組み合わせた「マーメイド界に出現するいやらしい男性」という英語の言葉です。
水着を着用して泳ぎますので、そういった”mervert”がショーなどでマーメイドにつきまとったり、変なアングルで写真を撮ったりして、海外の女性マーメイドも苦労してるんですよね。
だから”mervert”を排除するために、またマーメイドの女性を守るためにも「一切の男性の立ち入りを禁止する」というのも納得できることではあります。
人魚になりたい人とMervertの区別はつきます!
まあでもね。さすがに分かりますよ。「真剣にマーメイド(マーマン)になりたい」「マーメイドスイムが上手くなりたい」と思って練習会に参加する男性と、邪な考えを持った”mervert”の区別はすぐつきます。
水にも入らず、練習もせずに他の女性マーメイドにベタベタしてくるような輩は、先生方も生徒さんも 私自身も注意しますし、絶対に出禁になります! その辺りは「人魚の学校」はきっちりしてますので、女性・男性ともに安心してくださって大丈夫だと思います。
私個人の性別に関する考え
あくまで個人的にこう思うということをこれからお話します。私自身は性別ってあまり気にしないんですね。ほぼ365日、私は男装で過ごしていますし、相手がどちらの性別かなんて正直どうでもいいかなと思ってます。
私にとっては他の方がどの性別か、どういった性器がついているかなんて「顔のどこにほくろがあるか」ぐらいの違いでしかありません。だから
と言われても
と言われてるのと同じ感覚です。「なるほど。そうですか」ぐらいの些細なことにしか感じていなんです。
これは誤解のないようにちゃんと言っておきたいんですが、これまで性別に関して悩んでこられた歴史、様々な苦しい体験をされてきたことが「些細である」と言ってるわけじゃないですよ。
私にとってはその方の中身が大切で、外身がどうであるかは「顔のほくろ」ぐらい些細な事柄であると言いたいんです。
マーメイドは女性だけ──なんてことはない!
マーメイドは女性だけなんて誰が決めたんでしょう? アンデルセンの『人魚姫』にもディズニーの『リトルマーメイド』にも、海の王様である父親の人魚が登場しますね。
世界中にはマーマンと呼ばれる男性の人魚が山程いますよ。例えばマーメイドテイルの老舗メーカMertailorの創立者は、Ericさんという男性で自ら商品のモデルを努めていらっしゃいます。
先日はAP通信のジャーナリストが、フィリピンのトランスジェンダーの方がマーメイドスイムを楽しんでいる様子を記事にしていました。
YouTubeにもマーマンの専門チャンネルはいくつもあります。
世界で最も深く潜るマーマンのAfaさんは、マーメイドのモノフィンとテイルで(水深)30mの記録を持っています。こういうのは男性の肉体を持っている強みだなと思います。
日本はマーメイドスイム後進国!?
女性しか人魚になれないなんて言ってるのは日本だけですよ。すごく遅れてます! 以前にも言いましたが、日本は残念ながらマーメイドスイム後進国です! 怒りさえ感じてます!
私はこういうことに関してはカーッてしてしまうタイプですので、思わず強い口調になってしまいましたね。申し訳ありません。
子供の頃から尊敬している憧れの人
ちょっと話がずれますが、私は子供の時からずっと尊敬して憧れている人がいるんです。それは江戸川乱歩の小説に出てくる、緑川夫人。通称「黒蜥蜴」です。
明智小五郎という名探偵を生み出した推理作家の江戸川乱歩。その乱歩が描いた女性の主人公です。黒蜥蜴は大怪盗なんですね。女賊です。左腕に黒蜥蜴の入れ墨をしているから黒蜥蜴と呼ばれているんです。美しいものが大好きで、神出鬼没に宝石やら彫像やらを華麗に盗んで、美しい人間さえコレクションしようとする女性です。
怪盗・黒蜥蜴とはどんな人?
でも自分のことを「僕」と言って、ときにはスーツをビシッと着こなして美青年に変身して、明智小五郎から颯爽と逃げたりするんです。
後に文豪の三島由紀夫が、乱歩の『黒蜥蜴』を元に戯曲化して、その黒蜥蜴役に美輪明宏さんを起用しています。私も美輪明宏さんが主演する舞台も映画も拝見したことがありますが、女性になったり 男性になったり自由自在の黒蜥蜴に、美輪さんはぴったりの役でした。
彼女は──彼といった方がいいのかな。性別なんていうものに縛られないんです。自分の性別なんて自分で決める!と性の壁を軽々超えて自由に生きているんですね。そんな黒蜥蜴に子供の時の私は強く憧れて、今も彼女のような自由な生き方を目指しています。
90年近く経つのに、この有様
いいですか! 江戸川乱歩が『黒蜥蜴』を書いたのは1934年。昭和9年ですよ。もう90年近く昔のお話なんです。今は令和です。もうすぐ100年経つんです。男だ、女だと、何を言っておるのか! 時代錯誤も甚だしい! まったくくだらん! と思います。あなたの性別はあなたが決めていいんです。
マーメイドスイムは競技ではありません
今トランスジェンダーの元男性が、女性の競技種目に出場して物議を醸してますね。スポーツの競技に関しては、私個人は分けた方がいいかなと思っています。肉体の違いは絶対的に存在しますからね。
でもマーメイドスイムは競技ではありません。勝ち負けはないんです。だからどうか夢をあきらめないでください。少なくとも私自身は、あなたがマーメイドになることを心から、本心で、願っています。いつでも水の中の世界に飛び込んでくださいね。
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