あなたは耳抜きできますか? マーメイドスイムで耳抜きができないとこんなに怖い!という「水圧」についてのお話です。水深5mに潜って、手作りの実験道具で水圧の実験をしてみました。なぜ耳抜きが必要なのかを解説します。
知らなきゃ怖い「水圧」
今回は知らないとコワ〜イ「水圧」のお話です。素潜りやマーメイドスイムで水の中に潜る時、身体の中で起こる変化は何でしょうか? 耳が痛い! 頭が割れそう!そんな恐ろしい目に遭わないように、水圧について解説します。
耳抜き・マスクスクイズとは何か?
ダイビングをしたことがある方なら耳抜きをしたことがありますよね? 耳抜きができないと耳が痛んで深く潜れないんです。耳抜きができないからダイビングを諦めた──なんて人もいます。
そしてマスクスクイズ。水深が深いところまで潜るとマスクがギューッと押されて、強く痛む現象です。どちらも息をプッと吹き込むことで治まりますが、この原理を詳しくご説明します。
水深5mで水圧実験
百聞は一見にしかずと申しますから100円ショップで購入した素材で、こんな実験器具を作ってきました。キャップをつけたペットボトル中は空で空気が入っている状態です。キャップを締めているからこの中は密閉された空間です。これを水の中に沈めるとどうなるか──?
さあどんどん水深が深くなってきました。ご覧くださいペットボトルが潰れていきます。水深5m近くなるとこんなに凹んでしまいました。
水中では水の圧力「水圧」がかかるからなんです。深く潜れば潜るほど、水圧はどんどん大きくなって空気が小さく圧縮されていくのです。
水中では空気が圧縮される
人間の身体の中には密閉された空間がいくつかあります。鼓膜の内側もその一つです。小さいように見えますが、耳の内部も密閉空間なので耳の内部の空気も同じく水中では圧縮されます。
これを再現したのがこちらの実験器具です。このボトルの口の部分には赤いゴム(ゴム風船)を張っています。この赤いゴムが鼓膜だと思ってください。これも同じように水の中に沈めてみましょう。
するとどんどんゴムが内側にひっぱられて凹んでいきます。ボトルの中の空気が小さく圧縮されていくからです。
耳抜きしないとどうなるの?
これが自分の鼓膜だと思うとゾッとしますよね。水に潜ると耳に痛みを感じるのはこれが理由です。こんな風に鼓膜が内側へギューッと引っ張られるから、猛烈な痛みを感じるんです。このまま耳抜きをしないで潜り続けるとどうなるでしょう?
そうゴムは破れてしまいます。鼓膜が圧力に耐えきれなくなって穴が空いてしまうんです。これは猛烈な痛みです。死ぬほど辛いはずです。
それだけでなく冷たい海水が耳の内部に流れ込むと、三半規管の機能が低下して、ひどいめまいに襲われます。激しい吐き気がして、水中でパニックになり溺れてしまいます。耳抜きできないまま潜ると非常に危険だという意味がお分かりになったと思います。
耳抜きを模型で学ぶ
はいでは耳抜きをしてみましょう。このペットボトルの口にはストローがついています。このストローからプーッと息を吹き込みましたするとペットボトルがポコンと膨らみましたね。こんな風に耳の内側に空気を送り込んで押し返せば、鼓膜がギューギュー内側に押されるのを防げます。これが「耳抜き」のしくみです。
マスクスクイズも同じです。マスクと顔の皮膚の間の空気がギューッと圧縮されるから、マスクが吸い付いたようになって強烈な痛みを感じるのです。だから鼻から息を吐いてマスクを押し返せば痛くありません。
水面に向かう時は耳抜きは必要なし
さあ水面へ向かいましょう! すると押されていた空気が元の大きさに戻っていきます。凹んでいたゴム製の鼓膜は平らな形になります。そして(息を)吹き込んだペットボトルは吹き込んだ分の空気がポコポコと吹き出ていきます。
浮上するときは自然に空気が漏れ出るので耳抜き・マスクスクイズの逆──空気を吸い込むことをわざわざする必要はありません。
圧平衡とスクイズについて
このように正しく気圧・水圧のバランスを取ることを「圧平衡」と言います。圧平衡できないと鼓膜がギューッと吸い込まれるようになって痛むんですね。
鼓膜だけでなくマスク鼻の奥虫歯の空間など人体の密閉空間で起こる圧力の不均衡の痛みをスクイズと言います。
サイナススクイズとトゥーススクイズ
ただし鼻が鼻炎などで詰まっているときの鼻の空間の痛み「サイナススクイズ」や虫歯がある空間の痛み「トゥーススクイズ」はどうしようもありません。起こってしまったらその時点でそれ以上潜るのは無理です。だって自分で息を吹き込みようがないからです。
特に歯のスクイズは激痛が走ります。死ぬほど痛いそうですよ。私もアレルギー性鼻炎なのでサイナススクイズが起こるときがあります。鼻の奥・目の奥が締め付けられる激しい頭痛です。虫歯の人鼻炎の方は潜る前に、歯医者さんや病院に行きましょう。決して無理しないようにしてくださいね。どうぞお大事に。
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