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【耳抜きレベル2】そのバルサルバ法は間違いだらけ!? 正しい耳抜きの方法

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バルサルバ法耳抜きのやり方を徹底解説します。バルサルバ法はダイビングで最初に教えられる耳抜き方法ですね。だからダイバーの間では一番良く知られた耳抜きですが、実は落とし穴があります。間違った方法をしないようにご注意を。

今回の研究テーマ「耳抜き・バルサルバ法」


今回の研究テーマは「耳抜き・バルサルバ法」です。バルサルバ法はダイビングスクールで一番最初に習う耳抜き方法ですね。でもこのバルサルバ法、実は「最も理想的な耳抜き方法」とは言えません。やり方を間違えるととんでもないことになって、この先一生潜れなくなってしまうかもしれません。

ライセンスを取得している人、初めての体験ダイビングをする人、ビギナーのマーメイドの皆様もおそらく誰でも知っているのではないかと思われる、最も有名な耳抜き法がバルサルバ法です。なぜならダイビングのインストラクターに最初に教えられる方法だからです。

最も理想的な方法──とは限らない


でも最初に教えられるからと言って、最も理想的な方法、安全な方法──とは限りません。実はあまりおおっぴらには言えませんが、バルサルバ法をインストラクターが教えるのは、教える側の都合なんですよね。教えられる生徒さんにとってベストな方法ではないんです。

しかもバルサルバ法は間違えた方法で何度も行ってしまうと、耳に大ダメージがあって、最悪耳を壊して潜れなくなってしまうこともあります。でもこれを知らずに素潜りやダイビングを続けてしまう人が多いんです。

今回はバルサルバ法のメカニズム、メリットデメリット、そして最悪な事態を招かないための安全な方法を詳しく解説します。

バルサルバ法とは何か?


バルサルバ法というのは鼻をつまんで、鼻から吹き出すように肺の空気を送る方法です。水に潜ると水深2mぐらいから耳に痛みを感じます。水圧で鼓膜が内側にぎゅーっと押されて痛むんですね。この痛みをなくす方法が耳抜きです。

鼻から耳へは耳管(じかん)という細い管が通っています。鼻の奥に穴が空いていて、それが耳管の入口です。鼻をつまんでいる場合、鼻から空気を吹き出そうと思っても空気の逃げ道がないから、耳管の入り口から空気が耳の内部に逃げるんです。その空気が鼓膜をポコンと内側から押して、耳抜きができるというわけです。つまり空気の圧力で耳管を開いて、鼓膜を元の状態に戻す方法です。

最もポピュラーだけど実は怖いバルサルバ法


バルサルバ法はダイバーにとっては最もポピュラーでよく利用されている耳抜き法です。というのも体験ダイビングや、ダイビングスクールでそう教えられるからです。

中級・上級のダイバー、長年マーメイドスイムをしている人も、おそらくバルサルバ法が最もよく使われている耳抜きだと思います。でも間違ったバルサルバ法をしてる人が多いです。その結果耳を壊してしまって耳鼻科に通うことになったり、その後一生水に潜れなくなったりというトラブルを引き起こしてしまいます。バルサルバ法は最も有名な方法だけど、最も耳にダメージを与えやすい方法でもあります。

空気の力で耳管を開放するから

理由は耳管を「筋肉の力」ではなくて「空気の力」で開放してしまうことです。たとえピタッと耳管が閉じている状態でも、息を強く吹き込めば無理くりにでも耳管は開きます。物理的に耳管をこじ開けているんです。

そして強く吹き込まれた息は鼓膜を内側から強く押します。バルサルバ法は空気の加減というか、吹き込む力の調節がすごく大事です。強すぎると耳を痛めてしまうし、弱すぎると耳管に空気を送り込めません。

でもたとえ耳の筋肉が発達していなくても、誰でもプーッと息を吹き込めばたいてい誰でも耳抜きができます。力技で誰でも耳抜きができるので、インストラクターが教えやすいんです。

初心者が陥りやすい間違ったバルサルバ法


初めて素潜りやマーメイドスイムダイビングをする人は、耳の筋肉を上手く動かせません。でもその通りやれば誰でも耳抜きができるから、インストラクターが最初に教えるんですね。教える側の都合なんですよ。

ビギナーとしては耳抜きできないと鼓膜が破れるとか、水中で溺れて死んでしまうとかさんざん言われるじゃないですか。だからもう怖くなってしまって、強めに息を吹き込んでしまうことがあります。

特にスキューバダイビングと違ってマーメイドスイムや素潜りの場合は、潜行スピードがすごく速いので、焦ってしまってけっこうな力でいきんで、一気にフンッ! ポキュ! みたいに耳抜きしてしまうことが多いんです。

耳の病気になってしまうことも

これはとても危険な方法です。でも一応耳は抜けるから危険性に気づかずに、毎回毎回フンッ! ポキュ!ってやってしまうんです。その結果、たとえば耳の内部、内耳の骨の膜にヒビが入ったり、内耳の皮膚から体液や血液がにじみ出たりして、中耳気圧外傷とか外リンパ瘻という病気になって耳鳴りやめまいといった症状が起こります。

こうなると素潜り、マーメイドスイム、ダイビングとか言っている場合ではありません。ひどい場合は一生の後遺症となってしまいます。なのでこのバルサルバ法だけに頼るのは危険です。トゥインビー法フレンツェル法など、別の方法もできるようにしておくことが大事なんですね。

バルサルバ法が上手くやれているかはこうやって判断する


自分のバルサルバ法が上手くやれているかどうかの判断ですが、次の場合は要注意です。

まず耳が抜ける時にキューーーーーって感じで音が長い時。これは耳管がピタッと閉じている時──つまりタイミングが遅いのに、無理くり空気を送り込んでいる時の音だったりします。

または体調が悪いとか、耳抜きが上手くできていないのに何度も潜ったり、何らかの理由で耳周りが炎症を起こしていて耳管が細くなっている場合も音が長いです。こういう時は特に強く吹き込まないように気をつけてください。

数日〜数週間耳の違和感がある時は?

そして潜った後も、数日から数週間にわたって耳が詰まったような、耳の中がガサガサいうような、または耳の中に水が入ったままのような感じがする方。

この症状もしばらくすると自然に治るのであまり気にしてない人もいますが、中耳気圧外傷の症状が出ています。つまり鼓膜の「外側」ではなくて鼓膜の「内側」に血液や体液がたまっている状態です。でも人間はその液体が鼓膜の外側なのか内側なのか区別ができないんですね。だから綿棒やティッシュで水を取ろうとして、耳の炎症をさらに悪くしてしまうこともあります。

これもおそらく息が強すぎるとか、耳抜きのタイミングが遅いからだと思われます。耳抜きの音がキューーーっと長い、または潜水後に数日間耳に違和感があるこの2つの症状があるときは気をつけてください。おそらく耳抜きが上手くできていません。もし耳の違和感が数週間続くようでしたら耳鼻科を受診してください。

間違ったバルサルバ法を続けると……

このような間違った耳抜きを何度も繰り返していると、だんだん耳抜きができなくなってきて、下手すると手術が必要になったり、最悪の場合一生潜ることができなくなります。

耳抜きの上手な人はスッと秒で抜けますし、何度潜ろうが全く耳の痛みや違和感はないです。もしさきほどの2つの症状があるときはどうぞ注意してください。

安全で上手なバルサルバ法のやり方


ではどうやったら安全に上手なバルサルバ法ができるのかをお話します。まずは鼻をつまむ。そして息を吹き込むのですが、この時決して強く吹き込まないでください。大事なのが一気にやらないことです。

フンッ!じゃなくてフーッ!です。ただし長くもやりすぎないでください。フーーーーーーッ!と長くしすぎても耳を痛めます。

そして慣れていない方は早め早めに耳抜きをします。水面で1、2回。潜った直後にも行います。これはなぜかというと、深く潜れば潜るほど水圧によって耳管はますますピタッと閉じてしまうからです。そこに息を吹き込もうとすると、結構強めにしないと耳管が開きません。だから思った以上に息を強くしてしまいます。

オトヴェントという器具を使ってみる

バルサルバ法は早めに強すぎずが鉄則です。「えーっ! でもその強さがわからないんだよ!」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。その場合はオトヴェントという器具があります。オトヴェントを使うと適切な息の強さが分かります。

風船とそれに取り付けるパーツがあるんですが、それを鼻の穴にあててぷーっと膨らませるんです。オトヴェントは中耳炎の治療に使われている器具ですが、鼻に一定の圧力で空気を送り込む訓練をするためのものなんですね。もし息の強さがどうしてもわからないという人はこのオトヴェントを使ってみてください。

まとめ

というわけでバルサルバ法のしくみ、間違ったやり方の危険性や正しい方法についてお話しました。ただあくまで個人的に言いますと、バルサルバ法はビギナー向けといいますか、空気の力で耳管を開放するという、たとえ初心者でも誰でもできる方法なんですね。

もしあなたが長く素潜りやダイビングマーメイドスイムを続けたいのであれば、空気の力で耳管をこじ開けるのではなく、耳管周りの筋肉を鍛えて耳管を開いて耳抜きする方法をマスターする方がいいと思っています。

それがフレンツェル法です。フレンツェル法は耳にダメージがありませんし、使うエネルギーを最小限にできるので深く潜れます。あとフレンツェル法ができると上級者っぽくてカッコいいですよね。

これは次回の記事で詳しく説明します。まあカッコいいというのはともかく、あなたの耳を守るため、健康に末永く素潜りやダイビングマーメイドスイムを楽しむために、ぜひマスターしましょう!

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